トピックス
ミュージカル「イヴ・サンローラン」開幕!劇場レポート
ただいま絶賛公演中の劇場からレポートが届きました!キャスト陣からのコメントも到着!!
劇場レポート01
劇場レポート01B
イヴ・サンローランという名前は知っていても、彼の人となりや生き様を詳しく知る人はそれほど多くないだろう。この作品では、イヴの恋人かつビジネスパートナーであるピエール・ベルジェの回想から、彼の一生が歌と踊りに乗せて紐解かれてゆく。生い立ちやパリで才能を認められた17歳の頃、クリスチャン・ディオールのメゾンに入った経緯や華麗なデザイナーデビュー、ピエールとの出会い…。今や「モードの帝王」と呼ばれる彼にも、繊細で圧倒的な美意識を持つ一人の青年として夢と希望に溢れた初々しい時代があったんだなぁと感じ入った。面白いのは、イヴのいたずら書きに登場して後に絵本になったルル(後に彼のミューズとなったルル・ド・ラ・ファレーズを重ねている)、そしてクリスチャン・ディオール、エルザ・スキャパレリ、ココ・シャネルなどの有名デザイナーらが、入れ替わりでこの物語の案内役になること。様々な視点が時代を語るとともにイヴの多面性を見せてくれる。
順風満帆だったデザイナー生活が歪み出すのは、フランス陸軍に入隊してから。精神を病んで19日でドロップアウト。精神病院へと送られてディオールのメゾンを辞任。ピエールが奔走して彼を救い、メゾン「イヴ・サンローラン」が誕生する。イヴはプレタポルテを発表し、モンドリアン・ルックで大成功。今までにない概念、男物仕立てのパンツスーツやサファリルックなどで時代を切り拓いてゆく。劇中でこういったモードやトレンドが見られるのは最高に楽しく、有名人が次々と登場するのも面白い。特に後半は、イヴの生み出した様々なモードがモデル役により紹介され、エレガンスと洗練の極致、ファッション界の空気感が味わえる。印象的だったのは髪色を変えたアンディ・ウォーホルのナンバー。髪色を変えた何人ものウォーホルが歌い踊ることで、アメリカの大量生産という時代、そしてウォーホル自身の作風をも表す。こんなユニークな工夫は、ミュージカルという舞台芸術ならでは、だ。
イヴが有名、大物になるにつれて、表舞台の華やかさと内面の闇のギャップがますます開き、ドラマの光と影が色濃くなる。アルコールに溺れて自堕落になるイヴに別れを告げるピエール。果たしてイヴは人生を終える時、幸せだったのかどうか。
東山義久のイヴは優しげで繊細、どこか放っておけない魅力を放っている。イヴを支える上原理生のピエールがまた二枚目で、この二人がいちゃつく様子はあまりに幸せで微笑ましいとしか言いようがない。安寿ミラのココ・シャネルは強くカリスマ性に溢れて格好良い。皆本麻帆はキュートでチャーミング、伊東弘美は堂々たる風格でエルザを演じた。何役も演じるアンサンブルの活躍も目を引いた。
万華鏡で夢の世界を覗くように、立体で立ち上がり心に刺さるイヴの人生。必見だ。
劇場レポート03a |
劇場レポート03b |
劇場レポート03ba |
劇場レポート03bb |
劇場レポート03c |
劇場レポート03d |
劇場レポート03bc |
劇場レポート03be |
文:三浦真紀 写真:岩田えり
出演者コメント
■東山義久:イヴ・サンローラン役(Wキャスト)
昨年10月30日にフランス大使館で制作発表をさせて頂いてより3ヶ月、キャスト、スタッフの皆様とのリハーサルを重ね、本日初日を迎えることができました。期待と不安が共存する日々でしたが、濃密で素敵な時間を過ごした感謝と自信をもって初日に臨みたいと思っています。自身の身体を通し、少しでもイヴ・サンローランの魅力をお伝えできる様、この素敵なカンパニーと共に輝きたいと思います。
■海宝直人:イヴ・サンローラン役(Wキャスト)
実在のファッションデザイナー、イヴ・サンローランの実像に迫りながら、ファンタジックなミュージカルならではの表現でファッションの世界が鮮やかに描かれます。演出の荻田さんが創り出す世界観を皆様にしっかりとお届けできるようにイヴ・サンローランという人物を繊細に表現していけたらと思っています。
■伊東弘美:エルザ・スキャパレリ役
オリジナルミュージカルを創ることの大変さと、楽しさを1度に味わってます。私が若かりし頃には、存在しなかったスキルを持った若者達が、いつか本当に新しい時代を作っていくことでしょう‼スタッフ含めすべての人間の努力が花開く時に、その努力の一粒だったと思えるように、心して舞台に立ちたいと思います。
■皆本麻帆:ルル役
私が演じるLuluという女の子はイヴがディオールで働いていた20歳の頃に描いたいたずら描きで、それが「おてんばルル」という絵本として出版されました。見た目はキュートなのに、おてんばなLuluに力をもらって私なりにイヴやピエールに寄り添いたいなと思います。このミュージカルでしか味わえない「イヴ・サンローラン」の世界をたのしんでいただけたら嬉しいです。
■上原理生:ピエール・ベルジェ役
※東京公演のみ 2月19日まで出演
「イヴ・サンローラン」。名前は知っていても、どんな人だったのか、どんな人生を歩んできたのかというのは、あまり知られていないと思います。僕もその一人でした。この作品で描かれるのはそんな一人の芸術家の人生と苦悩、そして創り出された作品の背景や想い、ファッションの歴史…日本発のオリジナルミュージカル、楽しんで頂けると幸いです。
■大山真志:ピエール・ベルジェ/クリスチャン・ディオール役
※役替わり 全日程出演
今の時代も尚、輝きを放つブランドYSL。溢れ出す才能を持つイヴを支え続けたピエール・ベルジェと、その才能を見出したクリスチャン・ディオールを演じさせて頂きます。 華やかな楽曲と共にイヴの歩んだ人生を旅する作品です。優雅な時間を共に過ごせたらと思います。
■川原一馬:クリスチャン・ディオール役
※2月20日以降出演
僕は20日からの出演ですが、イヴ・サンローランの才能をいち早くキャッチしていたディオールとして、イヴを見守り、導く存在としてこの作品に居続けたいと思います。オートクチュール最期の世代を生きたイヴ・サンローランの生涯を素敵な音楽と衣装、そしてキャストで感じていただけたらと思います。
■安寿ミラ:ココ・シャネル/ルシエンヌ役
こんな壮絶な人生を送った天才的な著名人はどのくらいいるのだろう。この芝居をしていると、その時代、その世界を、無性に覗きたくなる。お客様に同じふうに思って頂けたら嬉しいです。
ミュージカル「イヴ・サンローラン」稽古場レポート
本公演の稽古場からレポートが届きました!開幕まであと少し!
稽古場レポート01
作・演出を荻田浩一、音楽を斉藤恒芳、衣裳を朝月真次郎が担当するオリジナルミュージカル。イヴ・サンローランを描くミュージカルは世界でも初めての試みだ。“モードの帝王”と呼ばれた、フランスが誇るファッションデザイナー、イヴ・サンローランの華麗な人生の光と影を描く。
訪れた稽古場では、2幕冒頭のシーンをいちから組み立てていた。音楽のなかで様々に展開していく場面を、細かく丁寧に作り上げていく。作品構造として特徴的なのは、イヴ・サンローラン、彼のパートナーであるピエール・ベルジェ(上原理生/大山真志)を中心に、他のキャストが舞台上に囲むようにいて、入れ替わり立ち替わりに様々な役を演じること。
2幕冒頭は、1958 年にモンドリアン・ルックを発表し、1966 年にプレタポルテのライン、リヴ・ゴーシュの一号店を出すなど、イヴ・サンローランが隆盛を極める頃が描かれている。仲間や投資家などに囲まれた華やかな世界だ。
稽古場レポート02
舞台上では、様々な場所で物語が展開していくため、荻田が歌詞にあわせて役者たちの導線や動きを細かく指示しながら、振付の港ゆりかが具体的に振付を作っていく。荻田の頭のなかにあるイメージが、次第に形になっていくのが面白い。本番の舞台では観客の目が足りないのではと思うほどに盛り沢山な場面だった。
キャストたちは、その細かな動きや振付を、頭と体に入れるのが大変そうなのだが、笑いが絶えないとても明るい稽古場。東山と海宝は眼鏡を、上原と大山と川原一馬がジャケットを身につけているのも、この役ならではだ。ダブルキャストの東山と海宝、上原と大山は、ともに入れ替わりながら稽古を進め、お互いに確認しあい、協力しながら作りあげていた。
ダンスが得意な東山と、歌が得意な海宝が、お互いにアドバイスしあう姿も。イヴ・サンローランが、とある男性に魅了される一瞬の場面の振付で、どう動くと美しく見えて動きやすいかを、東山が考えて海宝にレクチャー。また、三拍子の歌を確認しながら、言葉を音にどうはめるのか、東山が海宝に教えを請う。それぞれの持つキャラクターも異なるふたりだが、技術的な面でも対照的なふたりが、それぞれにどんなイヴ・サンローランを演じるのか、益々興味が湧いた。
上原と大山も、歌声はもちろん、動き方ひとつとっても違う。ダブルキャストならではの組み合わせの違いも楽しみだ。ともに何役かを演じる安寿ミラの艶やかさ、伊東弘美の達者ぶり、皆本麻帆の奔放さ、ディオール役の川原(2/20 以降出演、2/19 までは大山が演じる)の煌めきなど、見どころはつきない。
稽古場レポート03 |
稽古場レポート04 |
稽古場レポート05 |
稽古場レポート06 |
文:岩村美佳
ミュージカル「イヴ・サンローラン」直前SP 公開放送
ニコ生にて、ミュージカル「イヴ・サンローラン」直前SP 公開放送が決定しました。
出演者による楽しいトークで一緒に公演を盛り上げましょう!
また、当日の観覧チケットも販売いたします。ぜひご視聴&ご来場ください!
■タイトル:ミュージカル「イヴ・サンローラン」直前SP 公開放送
■日時:2月3日(日)OPEN 11:00 / START 11:30
■MC:和田泰右
■出演:東山義久、上原理生、大山真志、川原一馬
ニコ生放送情報
■配信URL:
http://live.nicovideo.jp/watch/lv318196611
・番組放送中にミュージカル「イヴ・サンローラン」の公演チケットの販売を行います。ニコ生ご購入特典としてスペシャルな特典をご用意していますので発表をお楽しみに!
観覧情報
■会場:新宿ロフトプラスワン
≫ 会場HPはこちら ≫ GoogleMap
■チケット料金:前売り・当日 共に 4,000円(税込)
・入場チケットとは別に当日別途ワンドリンク(500円)必要です。
・会場で販売する公演チケットは、チケットの整理番号順になります
■注意事項
・当日会場周辺での入り待ち出待ちは全て禁止とさせて頂きます。お待ち頂く事自体が禁止ですので、ご協力をお願い致します。
・撮影/録音、持込による飲食、友人の席取りは禁止です。
・極端に番組進行の妨げになる声やアピール、周りの人を不愉快にさせる行為をするお客様については途中退場をしていただく場合があります。
・営利目的のチケットの転売は固くお断り致します。転売チケットは入場をお断りする場合もありますのでご注意ください。
・ご入場は、整理番号順→当日券の順になります。(前売り券完売の場合は当日券は発売しません)
ミュージカル「イヴ・サンローラン」製作発表開催!
2018年10月30日、フランス大使館大使公邸で、初のミュージカル化となる本作品の製作発表が行われました。
ミュージカル「イヴ・サンローラン」製作発表開催!/画像
作・演出の荻田浩一さんは「イヴ・サンローランの人生は第二次世界大戦後のヨーロッパの歴史と大きく関わり、歴史そのものを作った人でもあります。また彼はネガティブな部分をオープンにしました。繊細すぎる心と溢れすぎる才能。その孤独と苦闘に焦点を当てたい」、音楽の斉藤恒芳さんは「こんなに筆が早く進むのは初めて。音楽は歌謡曲的で、今風な音楽と60年代音楽を混ぜて楽しませたい」、衣裳の朝月真次郎さんは「イヴ・サンローランはプレタポルテ(既製服)を世に出し、サファリルックやトレンチコートを初めて既製服として発売した。その勇気をアパレルの後輩たちに受け継ぎたいです」と語りました。
イヴ・サンローランを演じる東山義久さんは役を演じるにあたって「まさか僕がサンローランだとは思わず、誰が?と聞き直しました(笑)。この役のために髪をバッサリ切りました。荻田先生からは、僕独特のオラオラ感は消してくれと。モード界の神がどう生きたのか、繊細に表現したい」、同じくサンローラン役の海宝直人さんは「フランスとサンローランの世界観をお伝えできることにワクワクしています。イヴ・サンローラン美術館を訪れて、彼のセンスや感覚を肌で感じました。パリの空気感を膨らませて人物を創り、音楽の中で彼の内面を表したい」と意気込みを語ってくださいました。
イヴ・サンローランのパートナー、ピエール・ベルジェ役(東京公演のみ)の上原理生さんは「(お話をいただくまで)ベルジェさんのことは知らず、イヴ・サンローランがこの方と二人三脚でやっていたのか!と発見がありました」、ピエール・ベルジェ役とクリスチャン・ディオール役他の大山真志さんは「サンローランは栄光を手にしつつ、繊細で孤独な人だったのでしょう。ベルジェがサンローランを支えたように、僕も作品を支えたい」、クリスチャン・ディオール役の川原一馬さんは「歴史的な人物を演じるのは、身が引き締まる思いです」、ココ・シャネルとイヴ・サンローランの母ルシエンヌ他を演じる安寿ミラさんは「フランス大好きな私がシャネルを演じられるのはとても嬉しい」と、心境を語りました。
制作発表の最後にローラン・ピック駐日フランス大使が「フランス人にとってイヴ・サンローランはエレガンスの象徴で、美を追求した人。ミュージカルを通して彼の生涯を知り、クリエイションは何かを理解していただきたい」と本公演にエールを送っていただきました。
文:三浦真紀 写真:安藤潤一郎